クリティカル進化論
〜クリティカルシンカーとは?〜
学籍番号 8602180番
氏名 野原 将史
1.はじめに
クリティカル思考とは、「批判的思考」と直訳されるものである。私がはじめてこの言葉を聞いた時なんてつまらない考えなのだろうと思った。なぜなら初めからものごとを疑って考えケチをつけているようだったからである。しかし本当のクリティカル思考とは、疑うという事ではなく他人やものごとなど、様々な情報をそのまま単純に受け入れるのではなく、ものごとを正確にきちんと理解することなのである。では、どうしたらクリティカル思考を身につけることができ、よいクリティカルシンカーになることができるのか考えてみることにする。
2.本論
まず簡単にクリティカル思考に必要な重要なポイントをあげる。その一つは推論の仕方が妥当かである。そしてもう一つは根拠としての「事実」は正しいかに注目することである。
クリティカルな推論の仕方とは簡単にいうと、まずは推論をする上で基となる情報を正確に知ることである。ここで重要なのは原因はいろいろ考えることができるということである。私たちが目にする情報の多くは偏ったものである。たとえばTVや新聞で最近青少年の犯罪が増えていると騒がれている。それを専門家が「その原因は××である。」と言ったとすると、私たちは(私は?)その情報を疑いもせず信じてしまうことがほとんどである。しかし本当にそのことが原因なのか、もしくはその情報は確かなのかをよく考える必要がある。確かに青少年の犯罪はニュースとして取り上げられ以前より増加しているように感じるが、本当は昔から存在していたがそこにメディアの焦点がいかなかっただけかもしれない。情報を誤って理解してしまうことは当然結論も違ってきてしまうことになる。したがってクリティカル思考には、他人からの情報を吟味し取捨選択する能力と四分割表的な考えが必要とされる。
四分割表で考える
四分割表的考えとは、字の通り四つに分けて考えられる思考方法である。四分割表は、
すべてのことに対応できるわけではないが、ものごとの全体を比較しやすくしてくれる。普段存在自体が気づかれにくいことでもこの考えでは、比較の対象になるのでより事実に近づくことができる。つまり私たちの周りには目につきにくいことが多くあるということであり、それらを含めた全体を考えることがクリティカルな考えだと私は思う。
後知恵バイアス
この本を読んで私が一番注意しなければならないと感じたのが、この後知恵バイアスである。これは結果を知ってしまった故に判断が引きずられ影響してしまう事だ。この後知恵は自分の判断力や知識などが実際よりも過剰にあると誤解してしまう事だ。「こうなると思っていたよ」を続けているとそれ以上考える事をしなくなり、いざ何もないときでは何もできなくなってしまうような事態になってしまう。結果から推論するというよりも結果から教訓となるようなものを見つけていく事が大切である。
ものの見方
クリティカルシンカーに必要なものにきちんとした「ものの見方」がある。私たちのものの見方は、しばしば偏ったり事実を歪めてしまっている。これではどんなに考えが正しくても結果は間違ってしまう。そこでクリティカルシンカーには正しい根拠とスキーマの理解が必要である。根拠として注意したいのが自分に当てはまる事は他人にも当てはまるかという事である。現に私もよく友人に自分が当然と思っていることを話すと「え!?」という顔をされたことがある。これは自分に当てはまる事は他人にも当てはまると思いこんでしまった事が原因である。この他にも同じ思い込みは沢山あると思う。思い込みや先入観、感情を伴ったことにはクリティカルな考えをできない場合が多く注意しなければならない。スキーマとはものを見たり解釈したりするための枠組みである。(本文引用)スキーマは私たちがものを見る上で無駄を省いたり適切に解釈できるが、時にはこのことが偏った見方や他の事を見逃す原因となってしまう。先入観も同じことが言える、私たちは自分が立てた仮説や先入観に似たような情報を見つけるとそれを重視してしまう傾向がある。それによってほかの情報には目が行かなくなってしまうのである。これらのことを私たちは知っておかなければならない。クリティカルシンカーとは私が思うにこの見逃した情報や自分に当てはまらない人、様々な可能性についてその存在を認め、関心を持ち、感情に流されることなく、全体を含めて考えられる人を言うのだと思う。
3.結論
これまでクリティカルシンカーになるためにはについて述べてきたがでは、クリティカルシンカーとは要するに何なのかについて説明して終わることにする。
私たちの日常にはさまざまな議論が行われている。これを大まかに説明すると「事実」→「理由」→「結論」のように表せる。クリティカルシンカーは、この「事実」をそのまま鵜呑みにするようなことはしない、現代は様々な情報が溢れ誤った情報も多く存在している。この情報は本当に正しいのか?これは一部の意見のことなのかに注意できる人である。私はクリティカルシンカーにとって最も必要なの能力は「見る」→「事実」→「理由」の関係だと思う。ここでの「見る」は「観察」に近いもので、「事実」と場合によっては変化していくものである。このことにうまく対応でき、自分の意見に偏ったりしない人こそが本当のクリティカルシンカーだと思う。そして初めに私が言った良いクリティカルシンカーとは、他人の意見にケチをつけるのではなく、その意見を吟味し「ああ!なるほど」と新たな考えを見つけていくことのできる人であると私は思う。