なぜITは社会を変えないの
か
〜The
Social Life of
Information〜
提出日:11月10日
公開URL:http://masashi19.gooside.com/
学籍番号:8602180
氏名:野原 将史
ITの存在とは?
序論
情報が多く存在することを優先
した時代はもう終わった。現在は情報を取捨選択できる能力、インテリジェンスが注目されている。情報が溢れている状況では、メタ情報も多く存在し、本来必
要としている情報を取得するのも難しい。もちろんそれをサポートするITも急激に進歩してきた。私はこの本を読む以前は当
然にITは社会を変えてきたものであると思い込んでいた。これは私のITに対する見方が先入観で固め
られていたからであろう。今回は、この本を読んで新たに私が得た社会とITに対する視点を説明していくことにする。
本論
社会とITの関係とは?社会が進化して
きたのは、ITが発展してきたからである。これは多くの人が思っていることであろう。ITがより高度なものに進歩して
いくことで、生産や伝達の効率、スピードは上がってくる。そしてITは社会を豊かなものに変えてきたように思う。ITは社会を変えてきたのであ
る。そして社会とITの関係についてだが、ITは社会をサポートするための道具のようなものであり、社会はITによって変化するものであ
る。
しかし、この関係には疑問点が少
しある。
まず、ITの発展が即座に効率アップに
繋がるのかは、疑わしい。この本の例で説明すると会社はコンピュータのバージョンアップをせざるおえない状況にあり、社員はそのコンピュータの操作を覚え
るのに大変な労力を使っている。しかし、またバージョンアップをしてしまう、また苦労、その繰り返しであり、社員が効率よくコンピュータを扱うことは難し
くITの
発展に伴い簡単に効率性が上がってきたとは限らない。つまり、ここで言いたいことは、私たちが社会とITについて考えるときに、社会の構成要素である肝心な人間の存在を無視しているということ
である。
ITが社会を変えるものであれば、ホームオフィスや仕事においての個人作業は、社会で成功
し、ますます導入されていくはずである。しかし、実際はさまざまな問題があり失敗に終わることが多い。つまりITだけでは社会を変えられない
のである。なぜITの進歩だけでは成功しないのか?その鍵は社会の性質にあると私は考える。この本を通して
感じたことは、社会はもっと人間くさいものであり、機械的に進められるものではない。努力、経験、人間関係、環境などさまざまな、要因が絡み合って社会を
構成している。私たちはITのみにとらわれていると、頭でっかちで何もできない人になってしまう可能性がある。
ITが進化しても絶えず存在しているもの
ここからは、ITではカバーできないものについて考えていく。私はITの進歩と社会の変化について
考えたときに、セブンイレブンの週一で行われる会議を想像した。ITが発展している状況では、メールやテレビ電話はもちろん、データも遠隔地で操作でき、日
本、いや世界において距離という壁は存在しなくなったように思われる。しかし、こうしてセブンイレブンは非常に大きな資金をかけて会議を行っている。この
ギャップは何か?一言で言えば直接触れ合うことに特別な価値が存在するということである。少し私情を交えるが、電話とメールに特にメールには、特別な価値
がある。顔を見ているといえないことが、言いやすい。(文章化させるメリット)それと同じように直接会って行動することには大きな
価値が存在していると考える。人
は些細なところまで観察している、相手のしぐさや目線の動きそしてそれに対して自分は何らかの感情を抱いているはずである。人は言葉以外にもさまざまな意
思の伝達方法を持っているからである。うまく言葉では伝えられないことでも実際に会って説明していると相手も納得してくれる状況は結構存在している。
ITのもう一つの疑問は、経験効果の無視である。コンピュータを扱うものが人である以上私た
ちの能力によってITもその性能は制限されて当然であると私は考える。私たちは試行錯誤して物事を効率よくこ
なすことができる。しかしこのことを無視したITの開発や導入は逆に経験効果のメリットを打ち消している。私たちは社会の中に生活してい
るのである。そして社会は人と人とが相互作用してできている。
会社という小さな社会の中でも、
社員は上司、部下の関係はあるものの、人と人との関係が重要とされる。また本の例えを借りるが、誰かがPCを使っていてあるとき問題が
起こったとすると、周りの人の力が大きな助けになってくれる。これは一例であるが、集団であるメリットは多く存在しているのである。そして社会において重
要なのは、道具の進歩よりも人間同士のつながりやコミュニケーション第一とされる。
結論
今回の意見ではITは社会を変えないと説明した
が、厳密に言うとそうもいえない。(だからといってITが社会を変えたとはいえない。)しかし、社会とITの間には人間関係があり、ITの進歩が直接に社会を変える
ことはないように思える。ITは社会を変えるのではなく、社会がITを必要としITはそのサポートをするのである。社会は私たち人間の集まりである以上、ITが進歩し続けても、人間同士
のつながりや関係が変わらない限り社会というものの本質は変えることができないものである。
参考文
献
なぜITは社会を変えないのか
ジョ
ン・シーリー・ブラウン
ポー
ル・ドゥグッド
宮本喜一 訳
『日本
経済新聞社』