文明の衝突と21世紀の日本
学籍番号:8602180
氏名:野原 将史
公開日:1月11日
衝突と均衡
はじめに
21世紀世界ではさまざまなことが起こっている。アメリカはイラクに対し戦争を、また世界規模でテロに対する取り組みが本格化された。私たちの住む日本でも、対北朝鮮に拉致問題や、核開発問題で緊張の関係が継続している。世界ではさまざまな問題が起き、衝突の無い世界は人類史史上存在していないことであろう。これからますますグローバル化が進む世界では国際間での良好な関係が必要とされ、今回の本は非常に参考になるものである。21世紀の世界について私の考えをレポートする。
本論
現在の世界問題でもっとも目にするのはアメリカに関する記事であろう。イラクに対する武力行使などはアメリカの性格をよく表している。アメリカは世界の問題を自国の問題と考えている。国際社会の平和のためにアメリカはイラクに対し強制的な制裁を行った。「国際社会のために・・・する。」私はこの文章だけを見ると、正義の味方のような感じがする。しかし、なぜかこの文章にアメリカという主語を付け加えると正当化していたものが、偽善のような感じに変わってしまう。おそらくそれは、私自身アメリカを世界のトップと考えたくない、もしくは考えるには、アメリカは力が足りないと感じているからであろう。この考えは一般的にも言えることであろう。
現在の世界はこの筆者の言うとおり、一極多極世界である。階層的に世界が構成されていると考えると、ピラミッドの頂点はアメリカであることは、たいていの人は認める事実である。しかし、冷戦直後当時のようにアメリカに対し他国のパワーは弱小なもののままでなく、一つ一つの国の力は大きなものになり地域大国と呼ばれ、アメリカも無視できないものになっている。
では、今まで状況を学校生活の問題に例えてみることにする。あくまで私の考えであるが、冷戦時代直後の一極世界のクラスは、日本君や中国君、ロシア君やイギリス君、イラク君やインド君などさまざまな生徒が生活し、アメリカはおそらくそのクラスの担任教師のような存在であった。クラスの問題は教師の力量しだいでほとんどのことは解決できるであろう。生徒も教師の言葉なら信頼し素直に受け入ることができる。
現在の世界のクラスは当然さまざまな生徒が生活しているが、アメリカは教師ではなく力の強いガキ大将的な存在の生徒である。先生と生徒では明らかに立場が違う。アメリカが他の生徒の問題に口出しするのは、お節介な人である。クラスにはグループも存在する、その中で、リーダー的存在ができたら、早めに解散させる行為をアメリカ君がすると、それは単なるいじめっ子である。世界の中のアメリカの状況は変わったのである。このことに気づかないでいるとますます孤立化が進んでしまうであろう。
話を戻すことにする、もちろん世界はこのような簡単な関係ではない。世界には文明が存在している、文明には生活習慣、宗教などさまざまな要素が組み合わさり構成されている。
世界に衝突が消えないのも宗教と深い関係があると私は考える。テレビや新聞でフセインやビンラディンの行動は世界情勢を乱す独裁者的な扱いをされている。しかし、当事国の国民はその指導者を英雄と崇め信頼している。何度も私自身愚かな人々だと感じたことがあった。もちろん国民が愚かなのではなく、私とイラクの国民との間には文明的な壁が存在し、私に理解できない考え方が存在しているのである。アメリカの考えは自国の思想が世界のスタンダードであると捉えている。小規模な社会であれ他人に考えを押し付けることをすれば、衝突は避けられない。したがってアメリカが行う政策に対し世界の大部分は反発的になるのである。何度も言うが現代は一極多極世界である。この世界で一国が独裁的な政策を行うことは許されない、そこでアメリカは他国に共感と賛成を求めることになる。私たちの社会は情報で溢れている、しかし、その情報や報道は情報操作されたものが多い、私たちの文化に合わせた戦略が行われているのである。そのため、私たちはアメリカの制裁を認めてしまっているのである。アメリカは情報操作を行い自国の正当性を強めようとしているのである。
国際協調を再構築できるか?アメリカの重い課題(参考読売新聞記事)この記事でもアメリカが国際協調のために、世界で主導的役割を行うことを当然のように論議している。唯一の超大国アメリカがこの政策に失敗することは、世界のバランスが崩れることを示している。現在の社会は超大国アメリカに対し複数の地域大国のパワーで均衡が保たれている。アメリカがイラク政策やテロ対策に失敗すれば、おそらくアメリカは自国の力が衰えていることを他国に知られることになる。現在のアメリカの政策のほとんども単独で行わず、地域大国の賛成と援助を得て行うことが多い。しかし、他国の力を得ることができなくなれば、ますますアメリカの権力は小さくなっていくだろう。そうなると世界は緊張状態になってしまう。
私はこのレポートの序盤でアメリカの政策は各国の文明や宗教を考えると間違ったものであると述べた。矛盾した話になってしまうが、世界の平和を考えるとアメリカ地位が崩れることは問題であり、その政策を支持してしまう。したがって、私は間違っていると理論的に理解していてもアメリカの政策に反対できない。
世界はさまざまな文明によってバランスがとられている。自国の信念を他国に強制し衝突は起こる。また他にもバランスを保つために起こる衝突もあるのではないかと私は考える。
21世紀はアメリカが地位を維持できるか?中国はどれくらいの大国になれるのか?主な問題であろう。その中で、超大国となれない日本はどのように行動するのか注目していきたい。
結論
世界はさまざまな文明が存在している。宗教、文化、価値観の相違は確実になくならない。
現実的に考えるともちろん世界間の衝突もなくなることは無いだろう。アメリカの言う国際社会は決して西欧文明がスタンダードではない。したがってアメリカの政策はこのままスムーズには続かないであろう。そして21世紀は20世紀に続いたアメリカ中心の均衡が崩れる可能性が高い。一極多極世界の次はどうなるのか?もしくはアメリカに変わる超大国の出現があるかもしれない。そうなると、日本も現在の政策では上手くいかない。21世紀は日本も世界も大きく変化しなければならないことになるであろう。
参考文献
『文明の衝突と21世紀の日本』
著者:サミュエル・ハンチントン
訳者:鈴木主税
集英社新書