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真実の瞬間
コミュニケーションの重要性
野原将史
はじめに
自己紹介、それは私たちの生活の中で人と知り合うのはじめにすることである。そして私た
ちはその人に対しての第一印象を持つのである。嫌な感じの人、無愛想などと思われては、たいてい人は近づいて来ないだろう。企業にとってもそうである、い
や企業だからこそだからこそ第一印象ですべてが決まってしまうほどはじめの瞬間が大切なのである。カールソンの言う『真実の瞬間』とは従業員と顧客が接触
するはじめの十五秒間をいう。私たち消費者にとって重要なのは商品やサービスの品質であったり、信頼性であったり価格であるなどさまざまなものがあげられ
る。今の企業の組織構造は経営者、中間管理職、最前線で働く従業員のように大まかに分けることができる。従業員が顧客の要求や苦情を受けそれが上層部に伝
わり、そしてその要求に答えるようになっている。その返答は確かに会社にとっては最善の対策といえるかもしれない、しかし、顧客はそのような組織構造や上
層部の考えを考慮するだろうか?答えはNOである。顧客にとってやはり重要なのははじめに触れる従業員の対応であり、そこで会社全体のイメージが決まって
しまうのである。つまり会社にとっても重要なのは顧客とのファーストコンタクトの瞬間であるといえる。ヤン・カールソンはこのことにいち早く気づき実行し
て成功を収めた人といえよう。
本論
ここで言っておきたいことは、ヤン・カールソンが行ってきたプロジェクトや改革はそのほ
とんどが想像以上に難しく、凡人には考えもつかないようなものであったのか?ということである。この本を読み進めていくにつれ気づきになるだろうが、実際
そうではない。少し大げさだが私たち顧客なら誰もが気づいている(会社に望んでいる)ようなこともあげられる。カールソンの成功の秘訣にはコミュニケー
ションが重要な役割を果たしている。真実の瞬間は顧客に対する従業員のはじめの接客時間はもちろん、カールソンがはじめてヴィングレソール社からリンネフ
リュ社に移り社長となったときに社員に挨拶したときも私が思うに、真実の瞬間ではないかと思う。顧客にいい会社の印象を与えるも、社員にやる気を起こさせ
るのもこの瞬間のコミュニケーションが大切なのである。社長の演説で社員の助けを必要としていることを述べたことによって、社員も自分の価値というものを
確認することができ、従業員の自分たちが主役であると自覚させたのである。行動の面で社員にやる気を起こさせるには、従業員が自分自身で意思決定できる権
利を与えることである。従来は上層部の役員たちが意思決定を行っていたものを、一番情報を持っている従業員自身が行うことで機会の損失を防いだり、その状
況に最適な策を組み立てることができるのである。もちろんそれに見合った報酬を与えることも社員の満足度を得るために必要である。しかし、このように自由
な会社方針(従業員中心)を進めていては、バラバラでまとまりのないものになってしまう恐れがある。会社のリーダーとはこういった状況にならないように会
社としてのビジョンを明確に伝え自由の中にも決まった方向性を保たせることができなければならない。コミュニケーションはここでも役に立つのである。カー
ルソンは「有能なリーダーはコミュニケーションにもっとも多くの時間を費やす」(本文参照)と述べているが、事実コミュニケーションは運営上もっとも重要
といえるものである。カールソンは”小さな赤い本”を社員に配り具体的なビジョンを理解させた。それは単に文章で内容を知らせるのではな
く、簡潔にそしてわかりやすい文章や絵で読み手が簡単に理解できるように工夫されていたのである。コミュニケーションといっても言葉だけではない。リー
ダーが模範となる行動をすることもコミュニケーションの一つであるのである。会社のビジョンが明確でも先頭に立つ者が特別扱いでは社員の士気が高まらな
い。リーダーが模範となることが一番のコミュニケーションである。順序が逆になってしまったが、例えコミュニケーションが巧みであっても、旧来の組織構造
では「真実の瞬間」は台無しである。それも上層部と下層部には隔たりがあり、従業員が今直面している問題でも、意思決定は上層部が行うので上に返答を求め
なければならないからである。これは顧客に悪い印象を与えるだけでなく、時間的ロスも多い。このピラミッド型のような構造を崩壊させることで円滑な作業が
できるのである。このようにコミュニケーションとそれに合うコンディションつまり構造ができたからこそカールソンの成功があったと私は思う。
感想
『真実の瞬間』には3つのタイプがあると感じ
た。一つはカールソンが書いたとおりのはじめに行う接客の15秒間である。もう一つはリーダー、今回はカールソン自身がはじめに社員に向かっての演説をし
たとき。このときも部下たちは自分の着いていく人はどのような人なのか注目している瞬間なので。今後の社内のモチベーションとしても重要な『真実の瞬間』
である。そして最後に、私たちの多くはまだ受けたことのないサービスはたくさんあるはずである。その中でイメージを抱く場面がそうである。そう、広告や
CMである。上記の2つのタイプの『真実の瞬間』はコミュニケーションとかかわりが深いのは直ぐに分かるだろうが、広告でも値段で勝負するのか、そのサー
ビスの特徴に注目してほしいのか明確にしなければならない。カールソンの会社でも“Y50”から“100クローナ紙幣”と広告を変えて利益をあげたのも、
会社側から顧客に対しての意思疎通つまり広い意味でコミュニケーションといえる。したがってカールソンの言う『真実の瞬間』は本当の意味では宣伝活動のう
ちから始まっていると私は思った。顧客と社員、部下と上司、広告と顧客・・・いずれの間にも重要なことは意思の伝達ができることである。これからの企業に
おいて社内のモチベーションをあげるにしても、会社の印象をあげるにしても意思の伝達は必須であって、優れたコミュニケーションは重要なものである。今回
のヤン・カールソンの事例は非常にコミュニケーションの点でも参考になった。
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